せとかわデニム語り#6 ゆゆさん「活動を通して、作品以上の何が生まれてくるのかを見届けたい」
「せとかわデニムプロジェクト」のメンバーひとりひとりの言葉や、活動のあゆみをお届けする“せとかわデニム語り”。6回目の語り手は、東京在住のゆゆさん。
ゆゆさんは、普段は東京で保育や教育のおしごとをしています。瀬戸内出身ではありませんでしたが、SNSを通じて瀬戸内かわいい部と出会い、プロジェクトへの参加を決意。東京でワークショップを開催したり、商品タグを制作したり、離れた場所からバックアップしてくださっています。
今日はそんなゆゆさんに、デニプロ参加のきっかけや、このプロジェクトを通じて感じたことを語ってもらいました。
プロフィール
ゆゆ
今日の語り手。保育と教育の人。保育士、民間学童の所長を経て、現在は認可園の主任として働いている。子ども向けのものづくりワークショップやイベント主催「YOKARO」代表。フリーライター&野球好き。2020年6月には保育コミュニティ「Hareru」を立ち上げ。twitter:@yokaro_ccafe
みなみ
今日の聞き手。1987年、岡山県備前市出身。かわいい雑貨、工芸、美術館をさがして、カメラ片手に旅するのが好き。瀬戸内かわいい部運営。せとかわデニムプロジェクト発起人/プロジェクトリーダー。twitter:@minami9ram
-今日は、東京からせとかわデニムプロジェクトに参加してくださっているメンバー、ゆゆさんにお話を伺います。まず最初に、ゆゆさんが瀬戸内かわいい部を知ったきっかけは何だったんでしょう?
最初に知ったのはツイッターです。友達のRTで、瀬戸内かわいい部のツイートがまわってきて「こんなことやってる人たちがいるんだ。おもしろいな」って、アカウントをフォローし始めたんです。
しばらくしたら、今回のプロジェクトのメンバー募集ってツイートが流れてきて「あ、EVERY DENIMとのコラボ企画だ!」と興味を惹かれたんです。実は私、EVERY DENIMの山脇さんと面識があったんです。
-え、そうなんですか?
最初はとあるイベントのお手伝いをしていた時にゲストで来てくださって、そのあとにWasei Salonでもご一緒したんです。それで「あ、これ山脇さんのところだ」って。そういったご縁もあって、すぐに応募しました。
-実際にプロジェクトをはじめてどうですか?
当たり前ですけど、ネットから応募しているのでみなさんと「はじめまして」だったんですよね。初対面ということは気にならなかったんですけど、みんな瀬戸内とゆかりがある人たちで、自分だけ瀬戸内と何のつながりもなくて「どうしよう」って思ってました。
応募したのも「かわいいもの好き!」とか「おもしろそう!」っていう気持ちだけだったので「なんでこの人応募してきたんだろう?」って思われないかなって。“瀬戸内への想い”を何かしら持っている人たちの中で、何もない自分がどこまでその熱量についていけるのかが心配でした。
-そうだったんですか? ゆゆさんが興味を持って応募してきてくれたこと、運営メンバーはとても嬉しかったんですよ! そして、応募から時差があって、みなみとはじめて会ったんですけど…そのときはいかがでしたか?緊張とかありました?
あったと思います。3月にプロジェクトが始まっていたのに、会ったのは……5月?結構、間が空いたんですよね。たしか、錦糸町に中華がゆ食べに行って(笑) 応募してから時間がたっていたし、最初は何話していいかわからず、人見知り状態になっていたと思います。
-私もどきどきでした(笑)でも、子供のこと、保育のお仕事についてお話を聞いたら、ゆゆさん、とても熱心に語ってくださいましたよね。
語りましたねぇ(笑)
-そのとき「自分の大事なもの・好きなものに、こんなに熱量を注げる人なんだ!」って感じて、“この人となら大丈夫!きっと面白いことをやれる!”って確信しました。いま一緒にプロジェクトを進めていて、あのときの自信は間違ってなかったって思っています。
-ここで改めて、ゆゆさんが普段どんなことをしているか教えていただいていいですか?
今は都内の認可園で主任保育士をしています。
子供と接する仕事のほかにも、自分が中心になって「YOKARO」という取り組みを、かれこれ2年くらいやってます。活動内容は、子供向けのものづくりWSとか、イベントの企画運営などです。
私、もともと民間学童の所長をしていたんです。それとは別で、ハンドメイド作家もしていたんですけど、学童で自分のレッスンを持っていて、子供たちと一緒にものづくりをしたんですよ。そのときに「自分ひとりじゃなくて子供たちと一緒にやった方が楽しくない?」って気づいてしまって(笑)それから自分ひとりで何かを作る形からWSという形にシフトチェンジしました。そこで立ち上げた取り組みが「YOKARO」なんです。
-子供とハンドメイド、2つの好きなものが結びついたんですね。
最近は、さらに「NARIWAI」という子供向けのお仕事メディアをつくっています。子供たちが、いろんなお仕事をしている大人に取材をして、そのことを記事にする、そしてそれを子供たちが読むっていう学級新聞の進化版みたいな形ですね。まだ、立ち上げて間もないですが楽しくやっています。こんなふうに、ふだんは子供向けの活動を中心にしていますね。
-ゆゆさんのその企画して動かしていくっていう経験に、とても助けられています。
昨年の10月には、下北沢のイベントにYOKAROとして出店した際、ブース内でデニプロコラボのWSを開催してくれたんですよね。東京でも企画をやってくれてありがたかったです。
瀬戸内かわいい部の本拠地はやっぱり岡山で、東京にいるとできることがとても少ないじゃないですか。それがいつももどかしくて、何か力になることがあったらなって思っていたので、「WSやります!」と提案しました。
(下北沢でおこなった、デニムの端材を使ったアクセサリー作りのWS)
私ができることって限られてて、子供たちとやってきたものづくりWSだけになっちゃうなって思ったんですけど…でも「それならできるぞ」というか。今言ってくださったみたいに経験があったから、心配とか不安みたいなネガティブな感情はなかったです。
結果として、東京の人にもプロジェクトの存在を知ってもらえたし、アクセサリーを作ることで、身近に感じてもらうことができたんじゃないかなって思ってます。
-そうなんです、東京の人にも知ってもらえたのは大きかったです。そのあと、12月の岡山県移住フェアに瀬戸内かわいい部が出展したときも、デニムのノートカバー作りのWSを主催してくださいましたよね。
あのときは、集中しすぎてみんながしゃべらない事件がありましたね(笑)
私、普段は子供たちを相手にしているので「ゆっくりでいいよ」とか「わからなかったらいってね」って声掛けしたり、「上手!」って褒めたりするように心がけてるんですけど、でも子供たちってそんなのお構いなくしゃべるんですよ。「見て見て!」って、とにかく賑やか!
でも、大人の方は作業に熱中しちゃうというか、きれいに丁寧にやろうとしてくださるので、集中して言葉数が数なくなっちゃうんですよね。
私も、指導しながら不安になっちゃって「みなさん聞いてます!?」って(笑)
内容の難易度とかはもちろん違うんですけど、基本的には同じものづくりのWSだと思っていたので、子供と大人で反応が全然違って、とても新鮮でした。あと、大人の方は、ものづくりに入るきっかけとして、作るものの価値や、その背景や物語を大切にしますね。
-背景や物語とは?
大人はものづくりをするのにも、子供のように「やりたい」「楽しそう」っていうことだけじゃなくて、出来上がるものが自分にとって必要かどうかをまず考えますよね。そこに意味を見出す。必要ないなって思ったらものづくりに参加してくれない。
だから、それだけじゃなくて、これはどこから来たもので、地元ではこう使われてて、みたいな情報が入ると、ものづくりの“もの”の背景や物語がわかるじゃないですか。それを知ってもらうことで「参加してみようかな」という気持ちが高まる気がします。
だから、移住フェアの日も、WSを始める前に、やすかさんが瀬戸内かわいい部とは何者なのかとか、今回のプロジェクト趣旨や目的を説明してくれたのはとてもよかったなと思います。
ものを作って終わりにすると、心に残らないで作品だけ残ってしまうけど、そういった背景や物語を知ってもらうことで、作品が記憶に結びついて残っていくんだと思うんです。
-そうやって記憶に残るものが作れたら素敵ですよね。
実は、これ、子供たちのWSでも心がけるようにしてるんですよ。
子供はまずやってることが楽しいし、完成したものに愛着がある。あとは、完成したものを親に見せて共有したいって想いがあるんだと思うんですけど、それだけにならないようにしてるんですよね。
たとえば、ハロウィンのWSだったら「ハロウィンってなに?」っていうところから始めたりしてます。なぜわたしたちは今これを作っているのか、学んでいるのか。そうすることで、次の年も「去年、こういうもの作ったな」って思い出してもらえる。それが、心や記憶に残っていくものづくりだと思うんです。
だから、私は、物語のあるワークショップを大事にしていきたいです。
-今回のプロジェクトのお話を聞いていきたいと思います。東京と瀬戸内、物理的な距離がありながらの参加だったんですが、どうでしたか?
私は東京にいるから、やりとりはオンラインのチャットだけで顔が見えないし、そんなにしょっちゅうは会えないけれど、疎外感みたいなのはないですね。南さんとかみんな心配してくれるんだけど、不思議なぐらいにそういう感情はなくて、ちゃんと仲間の一員だって思えるし、仲間として迎え入れてもらってるなって思ってます。だからこそ、距離があることで参加できないことも多くて「協力できなくてごめんなさい」って思うこともあるけど、いやな意味じゃなくて、仲間だから出てくる感情だと思ってます。
しかも、みんながみんな「自分は当事者」っていう意識がちゃんとある。もちろんそれだけの気持ちがあるから応募してきたメンバーだと思うんですけど、全員がそういうモチベーションでいられるって珍しいじゃないですか。お金にならないことなのに、自分の時間をめいっぱい割いて、快くなんでも協力してくれるっていう関係性がとても心地いいです。
瀬戸内かわいい部で活動することは、とても楽しいから、私はそこに意味を見出しているけど、みんなそれぞれここで活動する意味を持っていて、それがとても素敵ですね。
(瀬戸内デニムピクニックシートのタグは、すべてゆゆさんの手作り。まみこさんが制作したデザインを元に、東京で制作して瀬戸内に送り届けてくれました)
(せとかわ meets the デニムで販売したアクセサリもゆゆさん制作のもの)
保育の仕事をしていると、人生の中でひとつの目標に向かってみんなで協力してなにかをつくりあげるって、人生経験として大きいなって感じるんです。
でも、社会人になると、職種にもよるけどそういう機会って少なくなるじゃないですか。大の大人が集まって、みんなで同じ熱量をもって、快く協力して何かを作り上げていくことってなかなかない。
だからこそ、瀬戸内かわいい部のメンバーで「いいものつくろう」ってがむしゃらにやっていることがすごいことだなって思います。きっと、そのみんなが作り上げていく過程で、作品以上の何かが生まれると思っていて。その“何か”がどんなものなのかを知りたいなって思ってます。
-ピクニックシートが発売したらプロジェクトとしては一区切り、ゴールまで後少しとなるわけですが、ゆゆさんはどういうゴールを迎えたいですか?
これは一つしかないですね。「デニムピクニックシートでピクニックをする」。これしかないと思います。自分たちで作ったものを自分たちが一番楽しまなきゃ!
ある種、親バカかもしれないけど、決してひとりよがりにつくったものじゃないし、買っていただく方に自信をもって「かわいがってあげてください」ってって言えるように、まずは自分たちみんなでピクニックをして可愛がってあげたいです。
想いを込めて作ったものを実際に使って、使った時のその想いまで込めて、デニムピクニックシートをみなさんにお届けしたいですね。
あと個人的には、私が教えてる子供たちにも使ってほしいな。とても思い入れのあるものに仕上がったから、自分の大切な子供たちと一緒にピクニックができたら、陳腐な言葉かもしれないけど、とても幸せだと思います。
-それでは最後に、メンバーや読者に向けてのメッセージをお願いします。
メンバーのみなさんには、いつも勉強させてもらってます。
私は、自分が物事に100%エネルギーをそそがずにはいられないタイプだから、みんなも1つのことに向かってる全力で向かっていく姿を見て、「私もがんばろう!」って元気をもらえるんです。その姿勢に刺激されるし、自分の活動ももっと頑張らなきゃなって思うことができます。
そんな、パワフルなメンバーがこだわって作り上げたデニムピクニックシートが、満を持してできあがってうれしいです。メンバーこだわりの逸品を、一人でも多くの人に使ってほしいと思います。買ってね♡(笑)
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ゆゆさん、ありがとうございました!
メンバーの思いと、生産者の皆様の技術がつまった「瀬戸内デニムピクニックシート」はこの春いよいよ発売し、5/30~6/7にはフィナーレ企画「せとかわデニムサンクスマルシェ」を開催予定!よかったらぜひチェックしてみてくださいね!
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