せとかわデニム語り【プロジェクトリーダー みなみさん】(後編)

瀬戸内かわいい部のやすかです!

前編はデニムプロジェクトリーダーのみなみさんに、このプロジェクトを始めたきっかけについてお話いただきました。今回は「なぜ瀬戸内かわいい部を始めようと思ったのか」「プロジェクトの中で大切にしていること」など、前編の内容をさらに掘り下げて質問していきます。


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瀬戸内かわいい部をはじめようと思ったきっかけ

や:みなみさんは、どうしてせとかわをやろうと思ったんですか?


み:せとかわに参加しようと思ったのは、やすかさんがSNSで発信されていた情報を見て「あ、私この岡山知らない」と思ったのがきっかけでした。私も、この街には何にもないと思っていて。天満屋クレド岡山くらいしか知らないぞって(笑)

*天満屋:岡山、広島、鳥取に店舗を持つ百貨店

*クレド岡山:ファッション・雑貨・インテリア・書籍など幅広いジャンルで流行を発信し続けているショッピングビル


でも、やすかさんのSNSを見ていたら、「え、こんな居心地の良い場所がこの町にあったの?」ってびっくりして。“かわいい”で町を切り取ってもらったことで景色が変わって見えたんです。

それがきっかけで、地元に帰省しても楽しく過ごしたり落ち着いて作業したりできる場所があるみたいだから帰ってみようかな、自分でも開拓してみようかなと思い、実際に月一ペースで岡山に通うようになりました。


こういう事例、岡山に限らず結構多いと思うんですよ。東京に出てきた同級生に瀬戸内かわいい部の活動について話して、その子たちにも自分の地元のことを調べてもらったら、「私の地元にもこんなのあったわ」っていうLINEがじゃんじゃん来て・・・


や:ええ!そうなんですか!!


み:そうなんです、「おもしろいところあるじゃん!!」って。景色が変わって見えたんです。そんなやりとりをしたこともあって、せとかわでやっていることって意味があるのかもって思い出したんです。地元を歩いてみようという企画…尾道フォトウォークとか、ああいうのも良いなあと思いました。自分たちの街をもう一回歩き直してみようよって。

一個一個はすごく小さいことかもしれないし、そんな大した影響力はないんだけど、小さい取り組みが一人ひとりに確実に伝わっていくというのがいいなあと思って。


いつか地元に

み:あと、岡山に移住や転職までは踏み切れないけど「瀬戸内かわいい部の活動なら参加できる!」と思いました。東京で仕事をしながら、時間のある範囲で発信したり、年に1,2回企画をやってみたり、そういった形で少しずつ地元と関われたら良いなって。実は昔から、「いつか地元で何かしたい」という思いがありました。


東京で仕事をしてきて、曲がりなりにもデザインとかPRとか自分なりの経験値も蓄えてきたから、微力かもしれないけど、そういうものを生かして地元のために何かできないかな、と。「地域のデザイン」的な本を読んだり、ほかの地方のローカルプロジェクトを紹介するトークイベントなんかもたくさん聞きに行って、「いつか自分の地元でも何かやりたい!」とずっと考えていました。


せとかわをはじめて変わったこと

み:瀬戸内かわいい部の活動の中で他の地域の方とも交流が生まれて、そのやりとりの中で新たな発見があって、どんどん発展していくのも良いですよね。私自身、せとかわというきっかけがあったことで地元に戻る機会がぐんと増えたし、そこから地元の備前焼の窯元の方とも友達になれて。


や:そうだったんですね!


み:そうなんです。ずっと備前で何かしたいって思ってたんですけど、知り合いがいなくてきっかけを掴めずにいたら、せとかわをやっているのがきっかけで備前の方とTwitterで知り合って。ただ「地元出身の人間です」って言うよりは、「こういう発信活動をやりたいと思ってて・・・」とお話を持って行った方が喜んでもらえるし。

(みなみさんと備前の方との出会いがきっかけで始まったプロジェクトはこちら


今までだったら素敵な人と出会っても、「教えてください!」とか「素敵ですね〜〜〜・・・・・じゃ、また!」って感じでしたが、今は「私もこういうことやってて・・・」って話せて、「じゃあこういうことやってみる?」って企画が進んでいく。そうやって、次に次に話がつながっていって、思い描いていたことが現実の形になっていくのが楽しいです。


「せとかわ」という世界観や枠組があるので、全ての「やってみよう!」を実現させるのは難しいけど、「かわいい」という切口と、カフェや旅行や雑貨が好きっていう共通点がある女の子たちと共感しあえるポイントがあればなんだってできる。「可能性、めっちゃある!」と思っています。


や:私もせとかわの運営を始める前と今では、人生が大きく変わりました。


み:私も! いまは仕事をやってる時間以外だいたいせとかわです(笑)

「次はこの人と一緒に、こんなことやりたい」「どういう切り口で行こうかな」「この条件さえ揃えばできるかな」みたいなことばっかり考えています。アンテナ高くなりましたよね。せとかわに繋げることを前提で考えているからか、身の回りで起きていることが全部自分ごとになりました。


や:「自分変わったな」「楽しいな」っていう感覚をせとかわの運営メンバーが持てているのは嬉しいですね。


み:ここでデニプロの話に戻るんですけど、デニプロのメンバーにも、「この活動をやっててよかったな」「次はこんなこともできるかな?」っていうわくわくする感覚を体験してほしいですよね。一歩踏み出して自分ごとで企画を進めていくことでアンテナが高くなるし、発信すればするほど入って来る情報が増える。その感覚を共有したい。そしてデニプロが終わったら、デニムに縛られず新しい企画を自分で立ち上げ発信して、どんどん形にしていってほしい。大それたことじゃなくてもいいからまず始めてみることがすごく大切だと思うんです。・・・って言ったらちょっと上からですけど。


みんなの実績って言ったら大げさかもしれないけど、「私はこれをやった」って胸を張って語れることをデニプロでつくってもらって、それを今後のメンバーそれぞれの活動の足がかりにしてほしいって気持ちがすごくあるんです。だから後々メンバーがこのプロジェクトのことを説明できるように、きちんと整理された記録を残しておきたいし、貢献してくれたことが形に残るような仕組みを作っていきたいと思っていて。


記録の方法が今のところはnoteですが、これからいろんなイベントが立ち上がってくるので、「このコンテンツを作ったのはこの人」「このデザインをやったのはこの人」みたいに、一つひとつの企画にクレジットをつける形をとっていきたいと思っています。

あとプロジェクトの最後に動画をつくって、エンドロールを流したいですね。このプロジェクトが始まった経緯や、メンバーの紹介、オンラインでの実際のやりとりなんかも写真と共に載せて、プロジェクトのあゆみを辿りながら、「こんなことあったよね」「この人がこの企画やってくれたんだよね」って、みんなで振り返りたいですね。


や:良いですね。プロジェクトの最後に報告会みたいな場所でお披露目できたら最高ですね。


やりましょう

や:現段階で、プロジェクトの中での一番の思い出って何ですか?


み:そうですね・・・、初めて島田さんとお会いして、私が企画を説明して「どうでしょう?」って聞いた瞬間に、島田さんが「やりましょう」ってご快諾くださったことですかね。あのスピード感には本当に驚きました。私、初対面の人間ですし、いきなり企画書を出されて、「1年かけてデニムの新商品を作りたいです」なんて言われても、すぐに判断できるわけないと思っていたんです。だからその日は企画の概要をご説明して、ご感想を頂くくらいのイメージでいたのですが、島田さんから速攻でご返事いただきました。新進気鋭のデニムブランドEVERYDENIMさんの躍進の背景には、このスピード感での意思決定があったのかと思いました。


ご返事いただいた時に、島田さんが「せとかわさんだったら大丈夫だと思います」と言ってくださったのもすごく心に残っています。瀬戸内かわいい部のHPを見てくださっていて、私たちの世界観や活動内容、大切にしていることを踏まえてYESをくださって。この信頼に報いる事をしなくてはいけないと思いました。


このプロジェクトでの私の宿題は、島田さんたちに何を返せるのか、そしてメンバーの皆様が次どこへいくのか、ということですね。みんなが胸を張って「これをやった」と言える成果を出さなければならない。


島田さんは私たちを信頼して自分のブランドを預けてくださっている。そういう事をしていただいたからには、自分も何とかしてその気持ちに応えたい。それに、島田さんが最初にこうして託してくださったから、「わたしも参加してくれているメンバーを信頼してプロジェクトの企画を託してみたい」っていう気持ちになれたんだと思います。託されて初めて人は力を発揮できるんだろうなって。


や:素敵ですね


み:本当に今、恵まれてるなって思うんですよね。託してもらって、育ててもらっているなって。


大切にしていることを、もっともっと伝えていく

み:デニプロの顔合わせでメンバーのなつきさんと初めてランチをご一緒した時、「階層的な組織ではなく、フラットな体制で自分が目指しているものとかやりたいこととかを実現できる場所が欲しかったんです」って言われて。それがまさに私も大切にしたいと思っていたことだったんです。

こんな風にふとした会話の中で、せとかわが目指していたものがわかってもらえていた時はすごく嬉しかったですね。せとかわの組織体制の特徴について何も言葉にはしていないけど、いつの間にかちゃんと伝わっていたんですね。


伝えたいことって、手を替え品を替え言葉を変え、何度でも言うべきだなって思いました。

100言ってようやく1伝わるということもあります。でも1伝わったら、その人は1から2にして3にして、どんどんどんどん言葉を蓄えていってくれるから、最初の1が伝わるまで言い続けなきゃいけないんだって。


や:文化も、コミュニティも、大切にしたいことは何度でも伝える。そうやって表現し続けている間に、わたしたち自身の言葉もどんどん研ぎ澄まされていって、より伝わりやすいものに変化していけるのかもしれませんね。


みなみさん、本日はお忙しい中、貴重なお話をお聞かせくださり、本当にありがとうございました。デニムプロジェクトのメンバーとこの先にどんな景色が見えるのかとても楽しみです。プロジェクトはまだまだ続きます。今後ともよろしくお願いいたします。


(聞き手:瀬戸内かわいい部 やすか)

→前編はこちら

Photos by Helen Suzuki, Yuko Minami, Yoshiko Seno, Yasuka Umezaki

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