#3 3/9篠原テキスタイル工場見学!〜デニムのうまれる舞台裏に潜入!〜
2019年3月9日(土)。
EVERY DENIMさんと瀬戸内かわいい部とのコラボ企画「せとかわデニムプロジェクト」のプレイベントとして、デニム工場の見学&染め体験ツアーを開催しました!
今回参加してくださったのは、岡山、京都、東京などから集まった総勢12人。
(せとかわイベント最年少、7歳の男の子もご家族と参加してくれました)
ではみんなで、篠原テキスタイルさんに向けて、しゅっぱーつ!
この日、お邪魔させていただいたのは、広島県福山市にあるデニム工場「篠原テキスタイル」さん。
デニムの生産工程は、大きくわけると<糸の染色→生地の織り→縫製・加工>がありますが、篠原テキスタイルさんでは<生地を織る>工程を担われています。
「せとかわデニムプロジェクト」でデニム小物を作るにあたり、「そもそもデニムってどんな風に作られているの? どんな生地があるの?」ということを教えていただくため、今日は特別に工場の中を見せていただけることになりました。
工場では、EVERY DENIM島田さんと池上さんが出迎えてくださいました。
「僕たちが向き合うと、デニムのかっこよさやクラフトマンシップが先立つけど、“かわいい”っていう切口で見直すことで、デニムの新しい可能性が見えてくるんじゃないかと思い、今回のプロジェクトがスタートすることになりました」
「生産者の顔や現場を見てもらうことで、ものづくりの深い魅力を知ってほしい」
参加メンバーへのメッセージをいただいたあとは、篠原テキスタイルの篠原さんにバトンタッチ。いよいよデニムがうまれる舞台裏のレクチャーがはじまります!
デニムの生地がこんなにあるって知ってた?
篠原さんの後について事務所に入ると、そこにあったのは、デニム・デニム・デニム!
すごい種類のデニム生地!
数百種の生地見本が、部屋いっぱいにならんでいます。
色のバリエーションはもちろん…
ハリ感あるデニムに、ストレッチデニム、タオルみたいなパイルデニムなんてものも。
これもデニム? きらきら上品な光沢の、カーテンとドレス。
テンセルを織り込むと、独特のハリのある光沢感が出るのだとか。
スリッパやファイルケースもデニムです!
EVERY DENIMの製品も!
こんなにバリエーション豊かな生地がどうやって生まれるのか、
今日は篠原さんにいちから教えていただきたいと思います。
デニムの生地ってどうやって作られているの?
篠原テキスタイルは1907年創業し、これまで112年の歴史を紡いできました。
創業当時は、備後絣(びんごがすり)を生産していて、のちにデニム工場となったのだとか。糸を染める工場と連携して、デニムの「織り」の工程を担当しています。
国内のデニムのほとんどが、ここ福山か井原で生産されているのだそう。
その品質の高さから海外からも高い評価を受け、国内ブランドにとどまらず海外ハイブランドの生地も手がけているのだそうです。
(服のタグには最終加工をおこなった場所の名前が入るため、なかなか表舞台に出ることがないけれど、実は瀬戸内産のデニムだった!ということが多いそう。ふだん自分が履いてるデニムも、どこで作られてるのか気になってきます)
篠原さんからは、まずデニム生地がどうやって織られているかご説明。
右手の青い糸は「縦糸」。
左手の白い糸は「横糸」。
この2つを織りあわせることで、デニムの生地はできています。
縦糸は、表面をインディゴ染料で染めますが、芯を白く残します(中白染め)。
そうすることで、表面が擦れたり、洗って染料が落ちたときに、芯の白色が表に現れ、独特の色落ちが楽しめるのだそうです。
それから、篠原さんが持ってきてくれたのは、何種類かの「横糸」。
糸にもいろいろな種類があり、横糸を置き換えることで、さまざまなパターンのデニム生地が生まれるのだそうです。
たとえば、
中に極細のゴムがはいっている糸を横糸にすると、のびのいいストレッチデニムが。
テンセルを横糸にすると、きらきら光沢のあるデニムが。
(下の写真は木からテンセルができるまでの状態を並べたもの)
こんな風に、横糸をどんな糸にするかによって、どんな生地ができるか決まるのだそうです。
デニムの可能性って無限大!
それから、篠原さんが教えてくださったのは「綾織」ということば。
縦糸・横糸の組み合わせで生まれる、右肩上がりになるこの感じの織目をそう呼ぶのだそうです。生地を織るとき、縦糸が何本の横糸の上を通過するかによって、綾織の目のこまかさが変化します。
デニムの生地のはしっこ(耳)。ふわふわしてかわいい…。
そして「デニムは使えば使うほど愛着がわく、履くことで育てる素材」と語る篠原さん。
長く使ったり洗ったりすることで、生地がどのくらい変化するかのサンプルも見せてくれました。
こんなに違うの!?と驚きの声があがるくらいの違い!
パリッと紙のような触り心地だったデニムが、トロトロとろみのあるデニムになっていました。すごい…!(色がちょっと違うけど、素材はまったくいっしょです!)
デニムがうまれる現場、織機の息づく工場へ
レクチャー後は、いよいよデニムの織機のある工場へ。
最初に見せていただいたのはこちら。これ、何かわかりますか?
答えはボビン! ミシンにとりつける、あのボビンです。
これに糸を巻きつけて工場の織機に設置します。
1つのボビンに巻き取る糸はなんと1000m以上だとか!
藍色がきれい…。
丁寧に紡いで、染めた糸。ずっと見ていたくなるような美しさ。
「さわるとほっこり柔らかくて、生き物みたい」という声も。
工場の入口。奥からガタコンガタコンと織機のはたらく声が聞こえます。
機械の下に設置されているのが、さっきのボビン。縦糸です。
機械の横には横糸が設置されていて、くるくると勢いよく吸い込まれていきます。
ここにどんな糸が選ばれるかによって、どんなデニムになるかが決まるのですね。
どの機械も、がたがたごとごと一生懸命部品をはたらかせています。
左右に揺れてこまめに動く針の頭がなんだかかわいい。
縦糸の間を横糸が高速で往復して、少しずつ少しずつデニムの布ができあがっていきます。
織機にもいくつか種類があり、今回ご紹介いただいたのは、シャトルをハンマーで打ち返して織る「力織機」と、空気圧で高速で糸を飛ばす「エアージェット織機」。
エアージェット織機は、力織機の3倍速く、24時間で120mくらいの生地を織ることができるそうです。(ちなみに篠原テキスタイルでは、1日に7kmの生地を織るのだとか!)
でも、新しくて早く織れる機械だからいい!…というわけではなく、古い機械だからこそ作れる生地感もあるのだとか。
どんなデニムを作りたいのか?そのイメージに合わせて機械を選ぶことも、職人の仕事のひとつなのです。
職人の目が慎重に光るからこそうまれる"廃材"
工場の外に出ると、篠原テキスタイルのみなさんが、織りあがった生地をロールで用意して見せてくれました。わあ!すごい!と盛り上がる中、篠原さんは。
「実はこれ、商品に使えないB品、廃材なんですよ」
えっ、一見なにも問題なさそうですが、どこが問題なのでしょう…?
「ほら、ここ」
と生地を広げて見せてくれると…
写真では伝わりにくいかもしれませんが近づいてよーく見ると、生地の表面にこまかい線が。糸あるいは織りの問題で、スジが入っていたのです。
デニムの生地が織りあがると、こうした気になる部分がないか、担当者が目を光らせ、計3回にわたって検品します。気になるところがあれば流通には出さず、B品として保管します。
人の目で生地をチェックするのに、どのくらい時間がかかるんですか?と質問すると、「1巻(1500m)チェックするのにだいたい2時間くらいですね」とのこと。
ええっ、早い!とみんなから驚きの声があがるのを見て、篠原さんは「デニムへの愛があればすぐできるよ」と笑いながら言いました。
「ずうっと毎日見ていると、生地の表情がすこし違った時、すぐにわかるんですよ」と続く言葉に、長年デニムを見つめ続けてきた職人のすごさを感じました。
職人の目を通して、慎重に検品しているからこそ産まれるデニムの"廃材"。
でも、ほんのすこしのキズ以外、品質はけっして遜色ありません!
この生地たちを活用して、かわいい小物として世に出してあげることはできないか?
それが、せとかわデニムプロジェクトのミッションです。
インディゴ染め体験スタート!
最後は、インディゴ染め体験!
それぞれが持ってきたアイテムを、デニムの染料・インディゴで染めてみました。
染料と酸化剤を混ぜて、まずは染色液づくり。
記念すべき1枚目は、部長のやすかさんが挑戦。
EVERY DENIMさんが用意してくださったエプロンも、もちろんデニム!
さて、それでは用意してきたトートバッグを染色液へ…
あれっ!?緑!?
藍色かと思いきや、染色液そのものは、ちょっと蛍光っぽいグリーン。
布を染めた後、空気にあてると、酸化反応で青くなるのだそうです。
他のメンバーもチャレンジ!
こういうアイテムだとどうなるかな?
2度染めもして、水洗いもして…
じゃん。できたー!
自分だけのオリジナルの染め物ができました!
少し色あせて使わなくなってたアイテムもきれいな藍色に…。
この春もう1度着てみよう!と感じることができる体験になりました。
瀬戸内で、どんなデニム小物を作りたい?
見学後は、福山駅前にある「AREA INN FUSHIMICHO」に移動して、きょうの感想をシェア。(AREA INN FUSHIMICHOがある伏見町エリアは、古い街並と新しいアイデアを織り交ぜた再開発で注目のエリア!)
今日の感想や「こんなデニム小物があるといいよね」というアイデアを、ゆったりソファで話し合いました。
バッグ、クッションカバー。
ふわふわの「耳」の部分を使ったアクセサリー。
デニムでできた名刺や、思い出にもなるポストカード。
あると瀬戸内旅行をしたくなるような、ノートやご朱印帳。
サムシングブルーという言葉にかけて、ウェディングなアイテム。
などなど、「それ、いいねえ!」というアイデアがたくさん。
デニムができる舞台裏や職人さんの思いに触れた後だからか、
「モノを作るだけじゃなくて、モノに職人さんの思いやすごさもこめたい」
「デニムにのせて、瀬戸内のすてきな部分を伝えたい」
「商品があることで、手に取った人が瀬戸内をもっと楽しみたくなるような企画を作りたい」
などの声が、自然と出てくる会になりました。
みなさま、今日は1日ありがとうございました!
おわりに
今回、特に印象的だったのは「デニムは使えば使うほど愛着がわく、履くことで育てる素材」ということば。
デニムは、たくさん履いて使い続けることで、どんどん人に馴染んで愛着がわく素材。
色が褪せても、逆にそれがいい。
履いて、使って、少しずつ育てる楽しさがある。
そんな言葉が心に残りました。
イベントレポート&動画、いかがでしたでしょうか?
この日に得た気づきや発見をもとに、「せとかわデニムプロジェクト」が、今月からいよいよスタート!
瀬戸内のデニムやものづくりの魅力を学びながら、その良さを「かわいい」という切口でカタチにする方法を、プロジェクトメンバーのみんなで考えていきたいと思います。
これからの進行にぜひご注目ください!!
最後に、EVERY DENIMさん、篠原テキスタイルさん。今回はどうもありがとうございました!
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